投資を始めよう!と思った投資初心者が証券会社に証券口座を開設する時に疑問に思うのが口座の種類。
口座を選ぶときにわかりにくく、初心者はどちらがいいのか迷うと思います。
今回は特定口座の源泉徴収「あり」と「なし」の違いと一般口座、NISA口座(つみたてNISA)について解説していきます。
特定口座と一般口座の違い
まず始めに、特定口座と一般口座の大きな違いを説明していきます。
大きな違いは年間取引報告書と呼ばれる物です!
特定口座は証券会社が年間取引報告書という1年間の取引をすべてまとめた物を作成してくれます。一般口座で取引する場合は、取引報告書を作成してくれません。
なので、確定申告に必要な書類をすべて自分で作成しなければなりませんので注意。
特定口座の「源泉徴収あり」にしておけば、確定申告や住民税の申告漏れを防ぐ事ができます!
特定口座
特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2つに分かれます。
源泉徴収とは
源泉徴収とは毎月の給与や収入から所得税を差し引いて納税をする源泉徴収制度と言います。
証券口座の「源泉徴収あり・なし」は株式の売買や配当金での収入から所得税を証券会社に納税してもらうか、自分で税金を納めるかの違いです。
源泉徴収あり
源泉徴収ありの口座を開設した場合、株の売買や配当金にかかる20.315%の税金を証券会社が代わりに支払い、その税金を引いた分の利益を源泉徴収ありの口座で受取ります。
先に税金を支払っているため株の売買や配当金の確定申告は不要となります。
特定口座源泉徴収ありを選んで確定申告が不要だと、合計所得金額から株式等で得た利益が除かれ流ので、50万円以上株での利益があっても扶養控除からは外れません。
源泉徴収ありを選んでも、特定口座取引報告書を用いて確定申告することもできます。
源泉徴収なし
源泉徴収なしの口座は特定口座により、自分で確定申告を行わなければなりません!
取引の利益金額が計算された取引報告書が証券会社より交付され、その取引報告書をもとに翌年の2月15日~3月15日の期間中に自分で確定申告して税金を納めます。
源泉徴収ありのように、株の取引ごとに税金は引かれません。
なぜ?源泉徴収なしを選択するのか
確定申告が不要になる「源泉徴収あり」を選択せずに、なぜ確定申告が必要な「特定口座源泉徴収なし」を選ぶのでしょうか。
確定申告が不要の給与所得者にとって、どんな時に「源泉徴収なし」を選択する必要な場合があるのでしょうか?
解説していきます。
証券口座が複数あり損益通算したいとき
証券会社の口座が複数あり、例えばA証券では利益が100万円、B証券では損失が50万円出ているとします。
もし、どちらの口座も源泉徴収ありで開設していると、A証券で税金203,150円引かれ、B証券では税金は0円となます。
100万円×20,315%=796850円になり、796850円ー50万円=296,850円の利益になります。
源泉徴収なしで自分で確定申告をすると、利益と損失を出した状態(100万ー50万=50万)に税金をかけるので101,575円が税金となります。
100万円ー50万円=50万円の利益で、税金をかけると50万円×20,315%=101,575円になり利益から税金を引いた、50万円ー101,575円=39,8425円の利益となります。
自分で確定申告をすることで複数の証券会社の損益通算をし、税金を抑える事ができます。
特定口座源泉徴収ありでも、自分で確定申告することで払い過ぎた税金(101,575円)を還付してもらえます!
譲渡損失の繰越控除
1年間の株売買で100万円の損失が出たとします。
翌年に40万円の利益、2年後に30万円の利益、3年後に30万円の利益が出るとすると、特定口座源泉徴収ありなら翌年に約8万円、2年後に約6万円、3年後に約6万円の税金が引かれます。
100万円の損失が出た年に対して、「上場株式などの譲渡損失の3年間繰越控除」として確定申告すると、翌年以降3年間損失を繰り越しができ、利益と相殺することができます。
損失と相殺するには確定申告が条件となっているため、「特定口座源泉徴収あり」で先に税金を取られるよりは、自分で確定申告をして税金を引かれないよう「特定口座源泉徴収なし」でした方がいいです。
確定申告をすることで税金で引かれた分は取り戻せるので、証券口座を「源泉徴収あり」にした方も取引報告書をチェックしましょう!
一般口座
一般口座の最大の特徴は、証券会社から年間取引報告書は交付されない事です。
なので自分で売買損益を計算して、自分で確定申告をする必要があります。
ただし、証券会社の口座管理等で売買取引記録や損益は見ることはできます。
特定口座は証券会社が作成した年間取引報告書を受け取れますが、一般口座は受け取れないので、確定申告をするとき自分で売買取引した価格を調べないといけないデメリットがあります。
負担や手間を考えると一般口座を開くメリットはほぼないです。
海外に移住するとき
海外に転勤や居住することになったら一般口座を開設しなければなりません。
理由は、海外に居住することになると日本では非居住者(日本に住んでいない)になります。
日本居住者を対象として特定口座の制度があるので、所得税法上では非居住者となると特定口座制度が利用できなくなり、特定口座の廃止手続きが必要となります。
保有株式は海外へ出国する前に、証券会社に連絡して特定口座を廃止して、一般口座に振替しておきましょう!
特定口座のまま出国すると、特定口座の取引に制限がかかり、株式の売買ができなくなります。
一般口座に振替しておけば、帰国後に特定口座に再振替して売却することも可能です。
特定口座で取り扱いのない株
未公開株など、特定口座で取り扱っていない株式を管理するためです。
特定口座を開いても、株式を購入する際に一般口座を選択することもできるので、一般口座を使いたいという人でも、特定口座を開設しておいたほうがいいです。
初心者には開設する必要はほとんどないです。
一般口座を開設するのは、株式や口座名義人の事情によることが多いです。
NISA口座(つみたてNISA )
まず初めにNISA(ニーサ)とはNISA(Nippon Individual Savings Account)の略称で、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにしていて、「少額投資非課税制度」が適用される口座です。
特定口座とNISA口座の大きな違いは利益に対して税金が課税されるかどうかです。
NISA口座は、株式や投資信託などの金融商品に投資をし、売却で得た利益や受け取った配当金に対して約20%の税金(所得税)がかからない非課税となる口座なので、特定口座や一般口座のように、確定申告をしたり税金が利益から引かれて口座に入金される事はありません。
NISA口座は税金がかかりませんので確定申告の必要はないですし、年間取引報告書も発行されません。
NISA口座で購入して売却した利益や配当金には税金がかからず、そのまま利益を受け取れます!
NISAの種類
NISAの種類は、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があります。
未成年が利用できるのはジュニアNISAのみです。
NISA口座(つみたてNISA)の加入条件
NISA制度が2024年から変更されます。
2023年までのNISA(つみたてNISA含む)制度での加入条件は、
- 日本に住んでいる
- 口座を開設する年の1月1日現在で20歳以上
2024年からのNISA(つみたてNISA含む)制度での加入条件は、
- 日本に住んでいる
- 口座を開設する年の1月1日現在で18歳以上
新NISA制度の加入条件で変更されたのは年齢だけですね。
2024年からは、非課税対象と非課税投資枠の内容が変更されています。
ジュニアNISA
ジュニアNISAの加入条件は日本に住んでいる20歳未満です。
ジュニアNISAは新規の口座開設は2023年末までです。
開設したい方はお早めに!
NISA口座の概要
2023年までのNISA口座の概要です。
NISA口座 | |||
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA (20歳未満) |
|
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・公募株式投資・REIT 等 | 長期の積立や分散投資に適した投資信託のみ | 上場株式・ETF・公募株式投資・REIT 等 |
買付方法 | 通常の株式買付け・積立投資 | 積立投資のみ | 通常の株式買付け・積立投資 |
払い出し制限 | 無し | 無し | あり(18歳まで) |
備考 | 一般NISAとつみたてNISAは年単位でどちらかを選択可能です。 2023年1月以降は18歳以上が利用可能となる。 |
2023年末で制度終了 |
2023年までのNISA口座はまとめるとこんな感じです。
- 一般NISAは、株式・投資信託・米国株等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税(ロールオーバー可能)
- つみたてNISAは、国が認めた投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税
- ジュニアNISAは、株式・投資信託・米国株(証券会社による)等を年間80万円まで購入でき、18歳までは最大5年間非課税(ロールオーバー可能)
2024年からの新NISA口座の概要はこうなります。
NISA口座 | ||
新NISA | つみたてNISA | |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
年間非課税枠 | 1階部分20万円 2階部分102万円 |
40万円 |
投資可能商品 | 1階部分:つみたてNISAと同じ 2階部分:上場株式・ETF・公募株式投資・REIT 等 |
長期の積立や分散投資に適した投資信託のみ |
買付方法 | 通常の株式買付け・積立投資 | 積立投資のみ |
払い出し制限 | 無し | 無し |
備考 | 新NISAとつみたてNISAは年単位でどちらかを選択可能です。 18歳以上が利用可能。 |
新NISAで変更した点
- 1階部分と2階部分に分けられ、1階部分で購入できるのは年間20万円まで、2階部分で購入できるのは年間102万円までです。
- 初心者が2階部分を利用するには1階部分を利用(つみたてNISAと同じ投資信託)しないと2階は使用できません
- 過去にNISA口座を利用していたなど投資経験がある方で、2階部分で上場株式のみを購入する方は、1階部分を利用しなくても2階部分のみ利用することができます。
- 1階部分と2階部分(条件あり)は投資から得られる分配金や譲渡益が非課税対象
他にも変更点はありますので今度記事を書きます。
2024年からはジュニアNISAはなくなり、新NISAも長期つみたて投資を意識してもらうべく2つに分かれた内容になります。
まとめ
証券会社に口座を開設するときに選ぶ、口座の種類を解説してきました。
この記事のまとめ
- 特定口座の「源泉徴収あり」は確定申告を証券会社がしてくれるので初心者向き
- 特定口座の「源泉徴収あり」でも確定申告をして、払い過ぎた税金などの還付を受けれる
- 特定口座の「源泉徴収なし」は確定申告を自分でしたい時、証券口座が複数あり損益通算したいときや、譲渡損失の繰越控除をしたいときに開設する
- 一般口座は海外に移住するときや、特定口座で取り扱いのない株(未公開株など)を保有する時に管理するため開設する
- NISA口座は3種類あり、少額投資非課税制度で税金(所得税)のかからない口座
- 2024年からNISAの内容が変わる
証券口座の開設はいずれの口座も無料です。維持費もかからないので、口座開設に迷っている初心者は特定口座(源泉徴収あり)とNISA口座(つみたてNISA)を開設しておくのがおすすめ!
源泉徴収のあり・なしや、NISA(つみたてNISA)の金融機関・種別は後から変更することができますが、その年の取引をすでにしている場合は翌年からの変更になります。
投資を始めるには、まずは口座を開設して少額から徐々に慣れていくのがおすすめです!
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